ASML 2025年1月29日 カンファレンスコール(第4四半期および通年決算)
1. はじめに
ジム・キャヴェナー(投資家向け広報担当副社長)
皆さん、ようこそ。本日のカンファレンスコールにご参加いただきありがとうございます。私はASMLの投資家向け広報担当副社長のジム・キャヴェナーです。本日は、ASMLのCEOであるクリストフ・フーケ(Christoph Fouquet)とCFOのロジェ(Roger)が同席しています。
本日のカンファレンスコールの主題は、ASMLの2024年第4四半期および通年の業績結果についてです。このコールの所要時間は60分で、質問は受け付け順に対応します。また、本コールはインターネットでライブ配信されており、終了後には当社ウェブサイトで管理側の発言のトランスクリプト(文字起こし)と録音のリプレイが公開されます。
はじめに、本カンファレンスコールでの経営陣の発言には将来予想に関する記述が含まれることを皆様にご理解いただきたいと思います。これらの将来予想には重大なリスクや不確実性が伴います。リスク要因の詳細については、本日発表のプレスリリースや当社ウェブサイト上のプレゼンテーション、またASMLの年次報告書(フォーム20-F)を参照してください。
2. 2024年第4四半期の業績概要
- 総売上高:93億ユーロ(当初ガイダンスの上限を上回る)
- 主な要因:設置ベース(インストールベース)収益の増加
- 2台のHigh-NA(高開口数)EUV装置の収益認識を含む
- 純システム売上高:71億ユーロ
- EUV装置:29億ユーロ
- 非EUV装置:42億ユーロ
- 売上構成
- ロジック(半導体プロセッサ向け):61%
- メモリ(DRAM、NANDなど):39%
- 設置ベース管理(インストールベースマネジメント)売上高:21億ユーロ(ガイダンス超え)
- 主にアップグレード事業の増加による
- 粗利益率:51.7%(ガイダンスを上回る)
- 理由:追加のアップグレード事業の影響、新製品HYNAシステム導入時のコスト削減
- 研究開発(R&D)費用:11.6億ユーロ(ガイダンス通り)
- 販売管理費(SG&A):3.18億ユーロ(ガイダンスを上回る)
- 年末の給与調整やIT関連コストの影響
- 有効税率(ETR):21.5%(過去の税務ポジションに関連した一時的な税負担が影響)
- 2025年の年間税率見通しは約17%
- 純利益:27億ユーロ(売上高の29.1%)
- 1株当たり利益(EPS):6.85ユーロ
- 現金・短期投資:127億ユーロ
- フリーキャッシュフロー:88.39億ユーロ(前四半期比で大幅増)
3. 2024年第4四半期の受注状況およびバックログ
- 新規受注額(Q4):71億ユーロ
- EUV装置:30億ユーロ
- 非EUV装置:41億ユーロ
- 受注の内訳
- ロジック:61%
- メモリ:39%
- 今後の受注報告の変更について
- これまで四半期ごとに発表していた受注データの報告を2025年で終了し、2026年以降は年間のシステムバックログのみ報告。
- 理由:四半期ごとの受注は変動が大きく、ビジネスの実態を正確に反映していないため。
4. 2024年通年業績の概要
- 総売上高:283億ユーロ
- 粗利益率:51.3%
- EUVシステム売上高:83億ユーロ(44台出荷)
- 前年比9%減
- DPV(従来型露光装置)売上高:128億ユーロ
- 前年比4%増
- 計測・検査装置売上高:6.46億ユーロ(前年比20%増)
- 市場セグメント別売上
- ロジックシステム売上:132億ユーロ(前年比17%減)
- メモリシステム売上:86億ユーロ(前年比44%増)
- 設置ベース管理(サービス・アップグレード):65億ユーロ(前年比16%増)
- バックログ(受注残)
- 2024年末時点で約360億ユーロ
- 研究開発・投資状況
- 研究開発費用(R&D):43億ユーロ(売上の15%)
- 販売管理費(SG&A):12億ユーロ(売上の4%)
- 最終利益
- 純利益:76億ユーロ(売上の26.8%)
- 1株当たり利益(EPS):19.25ユーロ
- フリーキャッシュフロー:91億ユーロ
- 株主還元:30億ユーロ(配当と自社株買いの合計)
5. 2025年第1四半期の業績見通し
- 総売上高:75億~80億ユーロ
- 設置ペース管理(サービス・アップグレード):21億ユーロ
- 粗利益率:52~53%
- 研究開発費用(R&D):11.4億ユーロ
- 販売管理費(SG&A):2.9億ユーロ
- 配当について
- 2024年通年の1株当たり配当金:6.4ユーロ
- 2025年2月1日に第3四半期の1.52ユーロを支払い
6. 技術開発・製品進捗状況(2024年)
- NXE:3800E(次世代EUV露光装置)
- 工場での完全スペック達成(1時間あたり220ウェハのスループット)
- すでに顧客向けのシステムアップグレード開始
- High-NA EUV(高開口数EUV)
- Q4に2台の設置と顧客受入試験完了
- すでに10,000ウェハ以上の実験を完了
- パフォーマンス向上:イメージング、オーバーレイ、コントラスト
- コスト削減にも貢献
- DPV(従来型露光装置)
- NXT:870B出荷(1時間あたり400ウェハの処理能力)
- NXT:1980I出荷(1時間あたり310ウェハの処理能力)
- 計測・検査システム
- IScan MLIBAM検査装置の初売上達成
7. 2025年および長期見通し
- 2025年の売上見通し:300億~350億ユーロ
- 粗利益率:51~53%
- AIが業界成長の主要ドライバーに
- 高性能コンピューティング(HPC)や高帯域メモリ(HBM)向けの需要が増加
- 顧客の生産能力次第では上限付近の業績達成も可能
- ただし、地政学リスクなどが下振れ要因に
- 市場セグメント別の見通し
- ロジック市場は2024年より成長(最先端ノードの量産化)
- メモリ市場は2024年と同水準の強さを維持
- 中国市場について
- 2023~2024年の売上は高水準だったが、2025年以降は通常レベルに戻る見通し
- 2030年の業績見通し
- 売上:400億~600億ユーロ
- 粗利益率:56~66%
8. Q&A セッション(質疑応答)
質問1:2025年の見通しについて
質問者(ウェルズ・ファーゴ証券 ジョー・カトラキ氏)
「2025年の業績見通しについて、AI向け需要が強ければ売上がガイダンスの上限に達するとおっしゃいましたが、それをどのように判断すればよいでしょうか?リードタイムを考慮すると、2025年上半期には売上が上振れする可能性があるかどうか分かるのでしょうか?」
回答(CFO ロジェ)
「そうですね。2025年の進行とともに、より明確に見えてくると思います。我々は現在、供給計画の中で一定の上振れを考慮に入れています。ただし、需要の確実性が高まるかどうかに応じて、実際に製造するかどうかを判断していきます。」
フォローアップ質問
「高NA(High-NA)装置の導入コストが予想より低かったとのことですが、第2四半期以降の利益率への影響について教えてください。」
回答(CFO ロジェ)
「確かに第4四半期のコストは低めでしたが、2025年のガイダンス(粗利益率51~53%)にはすでにその要因が織り込まれています。第2四半期以降は、高NA装置の売上認識が増えるため、利益率は若干低下する見込みです。」
質問2:中国市場の動向
質問者(パーレンベルク証券 サム・ミー・クウ氏)
「中国の受注状況についてですが、米国の輸出規制強化の前倒し需要は見られましたか?また、2025年に中国の受注が急減する可能性はありますか?」
回答(CFO ロジェ)
「当社の中国市場に対する見解は、前回のカンファレンスコールから大きく変わっていません。2023年と2024年の売上が高かったのは、中国向けのバックログ(受注残)が多かったためです。現在、そのバックログがほぼ解消されつつあるため、2025年以降は通常レベルの売上(総売上の約20%)に戻る見込みです。」
質問3:EUVの受注報告方法の変更について
質問者(パーンスタイン証券 サラ・ルッソ氏)
「ASMLは四半期ごとの受注発表をやめて、年間のバックログ報告に移行すると発表しました。この決定の背景を教えてください。」
回答(CFO ロジェ)
「四半期ごとの受注は変動が大きく、市場の反応が過度に影響を受けることがありました。我々の年間売上ガイダンスは、顧客との詳細な話し合いを基に作成されています。一方、四半期ごとの受注は一部の大口顧客の発注タイミングに左右され、ビジネスの実態を正確に反映しないため、今後は年間バックログの報告に変更します。」
質問4:2026年以降の成長見通し
質問者(UBS フランソワ・ボヴィニー氏)
「2025年はAI需要が強いため、EUV(極端紫外線リソグラフィ)の需要も伸びるとおっしゃいました。TSMC(台湾セミコンダクター)が2nmプロセスの立ち上げを加速する可能性はありますか?」
回答(CEO クリストフ・フーケ)
「2nmプロセスの生産スケジュールに関して、我々が持つ情報では通常のペースで進んでいます。ただし、AIの需要が強く、顧客がより早いタイミングで生産を強化する可能性はあります。我々はそれに備え、十分な生産能力を確保しています。」
フォローアップ質問
「スマートフォン市場が低迷する中で、AI向け半導体の需要はそれを補うほど強いのでしょうか?」
回答(CEO クリストフ・フーケ)
「短期的には、AI向けの需要は非常に強いものの、スマートフォン市場が低迷しているのも事実です。ただし、TSMCの発表でも指摘されていたように、モバイル市場の回復傾向も見られます。我々としては、AI関連の需要が引き続き強く、2025年の設備投資を支える十分な要因になり得ると考えています。」
質問5:2026年の業績予想
質問者(TDカウエン証券 クリス・サンカ氏)
「2025年はガイダンス通りの成長が見込めると理解しましたが、2026年はどうでしょうか?」
回答(CFO ロジェ)
「2026年は成長する可能性が高いと考えています。しかし、まだ具体的な数字を示すには時期尚早です。AI需要の継続性、メモリ市場の回復、地政学リスクなど、いくつかの変動要因を注視していきます。」
質問6:生産能力とリードタイムの短縮について
質問者(シダ証券 マディ・フセイニ氏)
「ASMLは過去にパックログ(受注残)が400億ユーロを超えていましたが、現在は360億ユーロ程度です。リードタイムの短縮に向けた取り組みはありますか?」
回答(CFO ロジェ)
「我々の目標は、顧客に対してより短いリードタイムを提供することです。そのため、サプライチェーンの強化や工場の生産能力拡張を進めています。特に、EUV装置の生産においては、長期リードタイムの部品を前もって確保することで、需要変動に柔軟に対応できるようにしています。」
最後の質問
質問者(JPモルガン サンディ・デシュパンデ氏)
「High-NA(高開口数EUV)装置の2026年の導入予定がすでにバックログに含まれていますが、もし顧客が導入を遅らせた場合、その影響はどうなりますか?」
回答(CEO クリストフ・フーケ)
「High-NA装置はすでに一部の顧客向けに導入が進んでおり、2026年の量産導入に向けた準備が整っています。現時点では、導入計画が変更されるリスクは低いと見ています。」
9. カンファレンスコールの締めくくり
「本日はご参加いただきありがとうございました。今後も最新情報をお届けします。」
10. 資料の出典
本資料は、ASML公式ウェブサイトにて公開された以下の動画を基に、ChatGPTを使用して日本語に翻訳したものです。内容の正確性については、必ず一次情報を確認の上、ご判断ください。当資料の利用によって生じるいかなる責任も当方では負いかねます。
ASML公式ウェブサイト – Q4 2024決算発表